不機嫌主任の溺愛宣言
「忠臣さんの馬鹿……!恋人が…大切な人が自分を守って怪我したって言うのに、置いて帰れる訳ないでしょう?今夜は付き添います、絶対に。付き添わせて下さい」
「一華……」
それほどまでに一華が自分を心配し想ってくれている事に、今度は忠臣の胸が熱くなる。気丈にあろうとしている表情とは裏腹に、ポロポロと止まらない涙を零し続ける彼女の姿に愛おしさが膨らんでゆく。
けれど。その涙をぬぐって抱きしめてやりたい衝動を抑え込み、忠臣は握られていた手を引くと一華に背を向けて寝返りをうった。
「忠臣さん……?」
不安そうな一華の声が静かな病室に響く。
忠臣は自分を純粋に信じ想ってくれている一華の眼差しに罪悪感を煽られ、耐え切れずに背を向けたのだ。そして、その想いをついに吐露する。
「一華……俺は君にそんな風に言ってもらえる資格など無い男なんだ。すまない」
「どういう事ですか?」
「俺も……加賀と同じだ。君に対して不埒な欲望を抱いてしまう気持ちが止まらない。今だって抱きしめてしまいたい衝動を必死に抑えている。君を大切にしたいと思いながら、ここ最近ずっとそんな事に頭を悩ませている最低な男なんだ。君をずっと避けていたのも……それが原因だ。すまない。他の男から守っておきながら、俺自身がそんな事を望んでいるだなんて――」
そこまで言いかけて、忠臣は言葉を失った。
一華が覆いかぶさる様に彼の背に抱きついて来たからだ。
「本当に馬鹿な人……」
「い、一華?」
思わず振り返り身体を起こすと、今度は一華は正面から手を伸ばしてきた。
「抱きしめて下さい、恋人でしょう?加賀さんとは全然違います。忠臣さんは私を心から愛してくれてるじゃないですか。それに何より、私がそれを望んでます」