「異世界ファンタジーで15+1のお題」四




「ロジャー!しっかりしろ!!」

「ロジャー!!」

どうにかロジャーを隠し部屋には連れていくことが出来たものの、たいした薬もなければ治療の出来る者もいない。
キルシュの持ちこんだシーツと毛布で身体を包み込まれたロジャーはすでに死人のような顔色で、時折、ひきつけたように身体を硬直させる。
そんなロジャーを取り囲んだ兵士達は、ただ声をかけることしか出来なかった。



「これはかなり危ない状態だ。
ギリアスさん、なにか手はないのか?
このままじゃこの人は…」

「わかっている…!
私だってロジャーを救いたい。
だが、この状態では…」

ギリアスは、唇を噛み締めた。
このままではロジャーが死んでしまう事は誰の目にも明らかだった。

張り詰めた雰囲気の中、キルシュは、ロザリオを握り締め、部屋の片隅で祈りを捧げる。



「おい、あんた、なにやってんだ!
ロジャーはまだ死んじゃいないんだぞ!」

兵士の一人が、キルシュの胸倉を掴み上げる。



「えっ!ぼ、僕は神に祈りを捧げていただけだよ。
どうかこの人が助かるようにって…」

「ケネス、良さないか。」

ギリアスが兵士の腕を掴み、諌めた。



「すまなかったな…皆、ロジャーのことで気が立ってるんだ。」

「いえ…僕なら大丈夫です。」

キルシュに頭を下げたギリアスが、不意に頭を上げた。



「そうだ…!
君、今すぐ、神父様をここへ呼んで来てくれないか。」

「今は神父様はいらっしゃいません…」

「いない?どういうことだ!?」

「……それは、僕にもわかりません。
……ただ、最近は神父様がおでましになるのはミサの時だけで、懺悔も禁止されていますから、教会には、シスターが二人いるだけです。」

「そのシスターというのはロザンナさんのことなのか?」

「いえ、ロザンナさんも今はいらっしゃいません。
ミサにも出てこられてません。
城に常駐しているのは名前も知らない若いシスターです。」

「そんな……」

ギリアスはそのまま言葉を失い、俯いて何事かをじっと考えていたが、やがて、決心がついたように再び顔を上げた。



「よし、それなら、そのシスターのうちの一人をここへ呼んで来てくれ。」

「ギリアスさん、何をする気だ。
それがもし大臣の手先だったらどうするつもりなんだ!」

ギリアスはライアンの心配にもかまわず、キルシュの肩に手をかけた。



「時は一刻を争う!
頼んだぞ!」

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