志ーこころー 【前編】─完─
ー志乃sideー
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つぎの日、勝手に目覚めたあたし。
昨日山崎丞ってやつからお茶とかお粥とか食べさせられた。
多分、山崎丞とは、新撰組の中でも一目も二目も注目を浴びていた存在の一人。
新撰組では異例の監察方とを掛け持ちしていた人物。
近藤さんや土方からも重宝され、とても気に入られていたとか
……確か、その末路は銃で撃たれた傷が原因で、船上で息を引き取った……だったっけ……
他人の最期を知っているって、なんだか申し訳ないような、それでいてどう接すればいいのかと考えながらお粥を食べた。
そんなことを思いながら食べ終わったと思ったときに、一気に眠気が襲ってきて、それからの記憶がすっぽりと抜けている。
ってことは多分、あのお粥なかに薬入ってたのかなァ
この時代の薬って主に漢方薬だろし オエ。
うん、ご飯に入れてくらたほうがあたし的にはありがたいっス。
薬は小さいときから嫌いだモン!
小さい頃かぁ……
志乃「……おばさん……」
久しぶりにその単語を口にした。
志乃「(おばさんは……あたしがこんなところにいること……知ってるのかなぁ……)」
もしそうだとしたら助けてよ……
志乃「(……たく……性に合わねぇこと考えちった)」
1人だと余計なことまで考えちゃうからいけねぇや
手で顔をおおった。
こんなあたしでも大切に育ててくれた……
大好きなおばさんの顔が……もう霞んでぼんやりとしか思い出せない。
志乃「(……あたしも随分と薄情だな、)」
あんなに好きなおばさんの顔がはっきりと思い出せないなんて……
”あんたは死んじゃだめなんだよ……
あんたねぇ、いっつも自分の良くないように考える癖、辞めた方がいいよ。
そんなことしても時間のムダだから……。
そんなにあたしに悪いって思ってんならね、
這回ってでも生きなさい。あんたあたしが死んだあと、変な気起こすんじゃない
よ。あんたの考えることなんてどーせしょうもないことくらい知ってるんだから……。
自殺なんかしてみなさい。三途の川の辺で
ぶん殴ってでもこっちにこさせないから……”
フフフッ……
自然と笑がこぼれる。
そうだ。おばさんの恩を仇で返すようなことしちゃいけない。
まだ踏ん張らなきゃ。この世に。
例えどんなところでも生きて行けるのが、ゴキブリの強いところだから。