泣きたい夜には…~Shingo~



えっ…


看護師達の会話に耳を疑った。


さっきひとみは、何もすることがなかったなんて涼しい顔で言っていたが、本当は命に関わるほどの大変なことになっていたのか?


すっきりしない気持ちのまま、駐車場に行くと、


「慎吾、遅い!」


ひとみは既に俺の車に寄りかかって不満げな声を上げた。


笑顔を見せてはいるものの、疲れの色は隠せない。


「お前、早くないか?」


カルテと上司への報告が数分で終わるとは思えない。


「省エネモードでカルテを超高速ブラインドタッチで打ち込みながら上司には報告して、引継ぎもしてきた。当然怒られましたが」


ひとみはペロッと舌を出し、肩を竦める仕草を見せた。


全く、呆気にとられて何を言ったら良いのか…。


でも、今日、一番の頑張りを見せたひとみにこれだけは言いたいこと。


「ひとみ、お疲れ」


ひとみは小さく頷いて、


「慎吾も向井に付き合わされて大変だったね」


そう言うと、笑みを浮かべた。



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