泣きたい夜には…~Shingo~
車のドアロックを解除すると、ひとみは助手席に乗り込んだ。
マンションに着くまでの10分間、俺達は言葉を交わすことはなかった。
しんと静まり返った車内には重苦しい空気が漂っていた。
マンションに着くと、一旦自分の部屋に戻り、着替えてからひとみの部屋に行った。
部屋の中を漂うカレーの匂いは俺の食欲を刺激する。
「ごめ~ん!今日はカレーだけでカンベンして~!!」
ひとみは申し訳なさそうにテーブルにカレーを置いた。
「いいよ、疲れているんだし、一晩寝かせたカレーは昨日よりも美味いんだから十分さ」
そう言って食べ始めたのだが、重苦しい空気を払拭できぬまま、美味しいはずのカレーを味わうことはできなかった。
いつもだったら食事のこと、仕事のこと等、色々な話をしながら楽しい時間なのに。
食事を終え、一緒に後片付けをしていても会話が続かなくて、洗い物をする水音がいつもより大きく聞こえた。
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