泣きたい夜には…~Shingo~



「明日は仕事じゃないのか?」


医療関係者は、俺のようなサラリーマンと違って勤務形態が不規則。


だから土日休みなんて数えるほどだという。


が、しかし、彼女はフフフと満面の笑みを浮かべると、


「明日、明後日と連休なの」


お、おい…マジかよ。


やられた…。


でも、さすがの俺も今夜は限界だ。


「浅倉先生、今日はもうこれで…続きはまた今度ということで…」


そう言い、足早に部屋を出ようとすると、


プシュ!


え……


缶ビールの蓋を開けた音に振り返ると…


「あぁ、泣いたから酔いが冷めちゃったぁ!飲み直そうっと!」


彼女の手には缶ビールが…


あぁ、ダメだ。


やはり放ってはおけない…


踵を返し、彼女から缶ビールを奪うと、


「ちょっと!何するの!!!!」


再び一気に飲み干した。


うっ!!


さすがの俺も今夜は許容量を超えた。


ダメだ、今度こそもう限界…


ドサッ!


足をとられ、その場に倒れ込んだ。



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