泣きたい夜には…~Shingo~
彼女は驚いて俺の顔を覗き込むと、
「ちょっと、大丈夫なの?あなた飲みすぎよ!!!!
そんな飲み方したら急性アルコール中毒になっちゃうわよ。もうっ、無茶して…ほらっ!水飲んで!!!!』
大丈夫なわけがないだろ?
飲み過ぎって…誰のせいだと思っているんだよ!!!?
それに、無茶してるのはお前の方だろうが。
お前にはもうこれ以上傷ついて欲しくない。
自分で自分を傷つけるようなこともして欲しくないんだ。
彼女はペットボトルのミネラルウォーターを持ってくると、
「何で…何で私なんかのためにここまでするの?」
悲しみと困惑の入り交じった表情を見せた。
「だってお前、ガキだし…危なっかしくて放っておけないんだよ」
俺の言葉に彼女は悲しげな笑みを浮かべると、
「だったら、私のこと…放っておかないで…」
呟くように言うと、ミネラルウォーターを口に含み、俺の唇に自分のそれを重ねた。
彼女の体温で温まった水が喉の奥へと流れ落ちていく。
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