泣きたい夜には…~Shingo~



「今夜は寝かさない」


ひとみの頬に触れ、そっと唇を合わせた。


「ちょっと、ゆっくりしようって言ってるそばから寝かさない、って矛盾してない?」


真っ赤な顔で反論しても説得力はゼロ。


「さ、チェックインしに行こうぜ。旅館なんてあまり泊まったことがないから楽しみだな」


スルーを決めこみ、トランクから荷物を出して、出迎えに来たスタッフに渡した。


チェックインの後、仲居さんに部屋まで案内された。


和洋室の落ち着いた雰囲気の部屋に入ると、広いベランダがあり、そこからきれいな海が目に飛び込んできた。


「今夜はこちらから花火がよく見えますよ」


仲居さんは部屋の説明を一通りすると、浴衣を取りに部屋を後にした。


「わぁー、すごい!」


早速ベランダに出たひとみは嬉しそうに景色を眺め、大きく伸びをした。


「今夜が楽しみだな…」


俺はベランダから海を眺めるひとみの肩に手を回すと、


「うん」


ひとみは恥ずかしそうに俺の腰に手を回した。



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