Queen of the Night
外は暗くなっていた。
暗き空に月が輝く。


あたしはそんな中を走る。
だけど。


「リディア!」


あたしの腕を追いかけてきたアルヴィスが掴んだ。


『っ、離してください!』


「離さない。
離したらあんたこの場から、俺たちのところからいなくなるだろ!」


『…だったらなんですか。
あなたも見たでしょ、あたしの過去。
…あたしは誰も信じない。
あなたたちのことも。』


あたしがそういったとき。


「……」


アルヴィスがあたしを後ろから抱きしめた。


『…離してください。』


だけど、アルヴィスは離さない。
それどころか抱きしめる腕に力がこもる。
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