僕の幸せは、星をめぐるように。
部外者のわたしが入って良いものか不安で再びそわそわしていると、
「トシミちゃん、キョドりすぎ。今日2、3年は課外あるらしいし、今1年しかいないから大丈夫だよ」
と言って阿部くんは笑った。
部室の入口は、ちょうど日向と日陰の境目。
半分だけ日の光に照らされた阿部くんは、顔も含めて全体のシルエットが綺麗だと思った。
奥二重の目が細められ、涙袋が綺麗に浮き出ている、可愛らしい笑顔。
しゅっと伸びた首には、のどぼとけがくっきりと浮かび上がっている。
白い肌、細めの体に、少し着崩した学ラン。
指も細いけど、ごつごつした骨の感じが出ていて、何というかセクシーだ。
その姿に見とれていたら、
風がどおっと吹いて、阿部くんの前髪と奥の木々をふさふさと揺らした。
ってか、『トシミちゃん』って。
さっきの阿部くんの声が頭の中で繰り返される。
そうかわたしは阿部くんに『トシミちゃん』として認識をされていたらしい。
何度かお話はしたことあるけど、
たぶんまともに名前を呼んでくれたのは初めてだった気がして、嬉しかった。