僕の幸せは、星をめぐるように。
☆ ★ ☆
「あ、シゲミ水いる?」
「うん。お願いしていい?」
「トシミは?」
「わたしは大丈夫。ありがとー」
――むむむ!?
シ・ゲ・ミ!?
薄味の中華そばをすすりながら、わたしは頭の中を必死に回転させていた。
国道沿いのラーメン屋さんにて。
今日は土曜日。ちょうどクニオ&ユカチンと部活が終わる時間が同じだったため、一緒に遅めのランチをすることに。
家族連れで埋まっているテーブルの奥、水を取りに行ったクニオの姿を見ながら、
「ねー。ユカチン、もしかして……」
と、わたしは恐る恐るあることを聞いた。
「うん、したよ。クニオと」
口をもぐもぐさせてから、表情を変えることなくユカチンはそう答えた。
なんて冷静な。
「やっぱり。おめでとうー! なんかさクニオのヤツ、男っぽくなったぁ?」
ラーメンを注文する時も、わたしとユカチンの注文するものを事前に聞いて、クニオが店員さんとやりとりしていたし、
自分の水だけではなく、人の水も取りに行くという気遣いを見せている。
「あいつさー、あたしと絶対結婚する! とか言い出してて。ま、面白いし様子見てみっか的な?」
ユカチンは嬉しそうな笑みをこらえながら、そう言った。
このこのこのー、と正面に座っているユカチンの足を突っつく。
わたしまでも幸せいっぱいの気持ちになっていた。
そして、そういえばユカチンの本名ってシゲミだったな、と今さらなことを思っていた。