僕の幸せは、星をめぐるように。


☆ ★ ☆



「トシミ~回覧板回すのすっかり忘れてだぁ。お願いー」


煮物の香りが漂う居間でダラダラとテレビを眺めていたら、母からのパシリ依頼が入った。


母は地区内で回覧板ストッパーとして有名である。(悪い意味でね)


仕方が無いので、パーカー&花柄ショーパンの部屋着姿のまま、

はす向かいの家――クニオの家に向かった。


日照時間がだんだん伸びているからか、田んぼに囲まれた住宅街の空は、まだ青色の奥にオレンジ色が滲んでいた。


ちょうど夜7時。

星めぐりのメロディーが町を包んでいく。


その曲に合わせて、あかーいめーだまのー、と頭の中で歌っていたが、

キッ! と突然わたしの後ろで鳴った、自転車のブレーキ音に邪魔をされた。



「おっ、トシミじゃ~ん。ライン見たけど、おめぇやっぱ阿部ちゃん狙ってんだべ?」


「クニオさん、おばんです~。回覧板どーぞー」


わたしは目以外を笑顔にして、見慣れたジャージ姿の男子にそれを渡すと、自分の家の方向へ周れ右をした。


「っておい、スルーするなよぉ~。それ結構寂しいどぉ~」


うーわ。ちょうど部活を終え帰宅なうのクニオに捕まってしまった。
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