キスはワインセラーに隠れて


「……着替え。できたらアイツらのトコに連れて行くから」

「き、がえ……?」


……それに、アイツらって?

ふと視線を下に落とすと、藤原さんの足元には紙袋が置いてある。

私はそれを手にとって、ガサッと中を覗いた。


「え、これ……」

「さっさと着ないと俺が手伝うことになるぞ」

「き、着ます! 自分で着ますから! ……とりあえず、出て行ってくれます?」

「ああ? 今さら照れなくたって、俺はお前の全部を知って――」

「だから、出てくださいってば!」


無理やりに藤原さんの大きな体をドアの外に追い出し、乱れた呼吸を整えると、さっきの服を袋から取り出してみる。


「……コレ、着るの?」


目の前に広げたそれは、どうやらウエイトレスが着る制服のようだけど……

見方によっては、メイドっぽく見えないこともないほど、ふりふりレースがごってり。


今朝から、自分の身に何が起きているのかひとつも飲みこめなくて、なんだか大きな流れに無理矢理乗らされているような感じがするけど。

……もうどうでもいいや。どうせ今日で最後だったんだし。

藤原さんの言う通りに動いてみてどうなるのか、見届けてみるのもいいかも。


私はそう心に折り合いをつけると、いつも着ている男装用のシンプルなTシャツを脱ぎ捨てて、ふりふりウエイトレス衣装に袖を通した。


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