キスはワインセラーに隠れて
や……やられた。キスくらいならいいかって思ってたのがばればれだよ。
でも、最近藤原さんとは会話どころか目も合わせていなかったんだもん。
久しぶりのキスを期待したって、しょうがないでしょ……?
私は目の前にある彼の服をつかんで引っ張り、小声でお願いする。
「……して、ください」
こうして久々に彼と向き合って、自分がどれほど寂しかったのかを思い知った。
自分からこんなこと言うの、生まれて初めてだよ。
ワインも恋も無知な私は、藤原さんに教わってばかり。
「馬鹿……その言葉だけ聞くと、勘違いするだろ」
「え?」
「無自覚かよ。このメス猫」
「そ、そのいい方はさすがにひど――――!」
私がうるさく騒ぐのを阻止するように、私の唇は彼のそれで覆われる。
途端に身体が熱くなり、観念した私は唇の力を抜いて、彼の舌をゆるりと受け入れた。
「……っ、ん」
息継ぎの瞬間に洩れる自分の甘い声を聞いていると、メス猫って言われても仕方がないかもしれない、なんて思う。
私は、藤原さんの前でだけ、彼のために鳴くタマになる。
男の人にごろにゃんって甘えるのは幸せなことだって、飼い主のあなたが教えてくれたから。