キスはワインセラーに隠れて


「――あ、ちなみに二号店ってのはここの事。店長は雄河で、料理長が須賀」


――って、また情報増えてるし!

オーナー、私に考える時間をください!


ええと……まずここがplaisirの二号店っていうのは、なんとなく理解できる。

内装が本当にそっくりだし、いつか本田とやらされた棚卸は、きっとこっちの店で色々使うから数を確認したかったんだろう。

っていうか、二号店が出せるなんてすごい。やっぱり、売り上げは好調だったんだ。


そして、このお店の店長が藤原さんで、料理長が須賀さん……

藤原さんはオーナーとは古い付き合いみたいだし、接客は得意だし。

須賀さんはもとのplaisirでも調理スタッフの責任者だったし。

……その人選に特に異論はない。


イマイチ理解できないのは、私がホールのチーフということと、それから。

なぜ、“女子用”の制服を着せられてるのかってこと――――。

そういえばさっきから、オーナーは私を“環ちゃん”って呼んでるけど。

それって、まさか……


「オーナー……もしかして、なんですけど。ここにいるみんなって、知ってるんですか? 私の性別……」


声を潜めて聞いてみると、オーナーはあっさりと言い放つ。


「ああ。こないだ、環ちゃんがみんなに最後の挨拶をした日があっただろ? その直前に、俺からみんなに話してあったんだ。
――庄野環は、実は女ですって」

「「ええっ!?」」


驚きのあまり大きな声を上げると、その声に重なってもう一人ひどく驚いている人物が。



「た……環、女だったのか……!?」



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