キスはワインセラーに隠れて
「……だったら?」
藤原さんは、そっけなく言った。
……ぐ。そう言われると困るんだけど。素直に不思議なんだもん。
今だって、コーヒー飲んでるだけで妙にサマになってるし。
実際、その容姿だから大学の頃はモテてたって、オーナーも言っていたし。
「あの……藤原さんてすごいモテる人だってオーナーから聞いたことがあって」
「あぁ……それは俺の中身を知らない女の話だ」
そう言ってから、少しの間宙を見て何かを考えていた藤原さんは、私にこう聞いてきた。
「お前、口堅い?」
「……はい。たぶん」
「じゃあ、ココだけの話にしろ。俺はな……」
持っていたカップをコトンとテーブルに置くと、藤原さんは膝の上で手を組んで私を見る。
「今まで付き合った女、全員から同じ理由でフラれてる」
同じ理由……?
なんだろう。容姿に関することではないだろうから、やっぱり内面の問題?
「その、理由って……?」
私の問いに、藤原さんは少し恥ずかしそうに、口元を手で押さえてぼそぼそとつぶやいた。
「……俺の……うんちくがウザいらしい」