LB4

できるだけ濡れないルートを選んで歩いたけれど、駅についた頃には二人とも全身びっしょりだった。

いいタイミングでやってきた電車に乗り込むことに成功し、ホッと胸を撫で下ろす。

「よかった、何とか帰れそうですね」

「でも徐行運転だって。いつ止まるかわかんないね」

「縁起でもないこと言わないでくださいよ」

私と板東は使っている路線が同じで、彼の方が3駅先まで乗っていく。

電車はノロノロ運転だけれど、少しずつ先に進んでいた。

……はずだったのだが。

『お客様にお知らせいたします。ただ今○○駅と××駅の間に倒木が確認されました。したがってこの列車は次の○○駅に停車いたしますが、安全が確認できるまで、その先の駅への運転は見合わせます。お急ぎのところ大変ご迷惑をお掛け致しますが、皆様の安全のため、ご理解とご協力をたまわりますようお願い申し上げます』

繰り返された車内放送に、車両の中がざわめきだす。

「うわーっ、マジか。俺帰れないっすね」

次の駅は私の降車駅。

私はここで降りるが、板東はその先まで乗っていかなければならない。

「たった3駅なんだし、タクシー使えば?」

「たぶん長蛇の列ですよ。運転の再開を待った方が早いかもしれません」

「ははっ、ツイてなかったね。ご愁傷さまー」

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