LB4

念のため、板東さんには「千佳には手を出さないでほしい」と話をつけていた。

彼は基本的に女遊びや浮気はしない主義だが、しつこい女や悪くないと思った女には気まぐれに手を出すことがある。

その気まぐれに千佳が巻き込まれたりすれば、厄介なことになるのは自明の理。

板東さんに相手にされない千佳は、他にもバイト先の先輩や店長、学部の男や合コンで知り合った男などにも色目を使い、手に入れようと試みていた。

しかし、俺の教育の甲斐なく、懲りずに恋愛ヒエラルキーで上層に位置する男ばかりを追いかけ……当然、そんな彼らに良いように弄ばれては捨てられる。

そしてこう言って嘆くのだ。

「どうして私には彼氏ができないの?」

バカだな。

何度も何度も教えてきたのに。

「千佳の好きになる男って、身の丈に合ってない」

意地悪を言ってるわけじゃない。

本当のことなんだ。

だからそんなに怒るなよ。

わからずやの千佳が悪い男にハマらないよう、俺は手の限りを尽くした。

大事に抱かれないと満足しないよう、徹底的に千佳の身体へと叩き込んだ。

だから千佳は、千佳を慰みものにするような悪い男ではイけない。

愛も快楽もない行為に、不満を感じずにはいられなかったはずだ。

結果、前述の男たちとの関係がズルズル続くことはなかった。

それだけは、教育の賜物だと言えるだろう。

しかし、一つ問題が発生した。

俺が大事に扱っているうちに、本当に大事に思うようになってしまったのだ。

これは、大変な誤算だった。


< 112 / 180 >

この作品をシェア

pagetop