LB4

ついでにタバコも買い足して、会計を済ませる。

「ありがとうございましたまたお越しくださいませー」

「どーも」

袋を持ってガラスの自動ドアへ身体を向けた、その時だ。

新たに店に入ってきた女性と、バッチリ目が合った。

「まゆみさん!」

今日は彼女もデートだと、えみちゃんが言っていた。

これから帰るところらしい。

今ちょうど駐車場を出て行ったのが、彼氏の車だろう。

「大悟くん! 久しぶり。元気?」

まゆみさんも俺に気付いてにっこり微笑む。

3年前と比べるとちょっぴり老けた気もするけれど、相変わらずの美貌を誇っている。

「見ての通り、バリバリ元気です。まゆみさんもお元気そうで」

「うん、お陰様でね。ていうか、やっぱりえみのデートの相手、大悟くんだったんだ」

「はは、バレてたんだ」

「泊まるって言ってたから、母としては複雑な心境だったんだけど、ちゃんと帰してくれたのね」

「当然。いくら俺でも、えみちゃんに手は出せないよ。それに俺、優しい善人になったからね」

まゆみさんはクスクス笑って、あの頃の俺たちを思い出しているようだった。

懐かしいな。

まゆみさんには千佳の話……というか相談もよく聞いてもらったっけ。

「そっか。大悟くんも、もう社会人だもんね。やんちゃ坊主も落ち着いたってことなのかしら」

「そうかも。あ、そうそう。今、例の夢見る女と、ちゃんと付き合ってるよ」

「ほんとに? もうその子とはとっくに終わってると思ってた。意外と一途だったんだ」

まゆみさんが笑ってくれると、なんとなく褒めてもらっているような気分になる。

自分が成長したように感じて嬉しくなる。

「ははは。意外だって、自分でも思ってる」

やましい関係だった頃は、ガキだった俺がお姉様に遊んでもらってるっていう感覚だった。

手ほどきというか、勉強させてもらっているような感じもしていた。

まゆみさんに

『夢見る女の子なんだから、大悟くんが夢を見せ続ければ良いのよ。とことん大事にしてみたら?』

と提案してもらってなかったら、千佳との関係はどこかで破綻していたかもしれない。

そういう意味で、まゆみさんは恩人とも言える。

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