LB4
恋愛対象には二種類ある。
主観的恋愛対象と客観的恋愛対象だ。
主観的恋愛対象とは、自分が恋愛対象だとみなす相手のことをさす。
実際に自分が好きになった相手やいいなと思った相手のことである。
対して客観的恋愛対象とは、他人が恋愛対象だとみなす相手のことをさす。
簡単に言えば、お似合いだとか、釣り合わないとか、そういうことだ。
恋愛とは当人たちだけで営まれているように言われることが多いが、実際は違う。
社会生活においては、周囲からの評価、つまり客観的恋愛対象としての評価が、二人の関係に大きな影響を及ぼすシステムになっている。
評価が高ければ祝福され、関係が上手くいきやすい。
評価が低ければ迫害され、関係は破綻しやすくなる。
これはもはや、現代社会に順応して生きる者の宿命とも言えるだろう。
江頭にとって、田中は客観的恋愛対象としての評価が100点満点。
俺は0点以下である。
高校生の恋愛市場に、教師が自ら飛び込んでいいわけがない。
俺は江頭に恋をして長年連れ添った恋人を失ったが、この社会で生きていく限り、江頭と結ばれることは許されないのだ。