LB4
「恋愛ってそんな適当でいいの?」
夢、希望、迷い、欲。
そういうのが複雑に絡み合った苦しい表情で、救いを求めるように俺を見つめる江頭。
「適当って?」
「この人がダメだったからあの人に行くって、なんか……悪いことしてるみたいじゃん」
なるほど。
悪くないけど、焦がれるほど好きでもない。
本命にフラれたからって、そういう相手を利用して寂しさを埋めるのは間違ってる気がする。
だから、田中の気持ちに応えるのを躊躇しているということか。
「恋愛なんてそんなもんだろ。残念ながら、世の中清い恋愛をしてる人間の方が少ないぞ。だから別れたりくっついたりするんだろ」
「そうかもしれないけど……」
彼女は眉を寄せ、納得いかないという顔で続きの言葉を飲み込んだ。
清くありたいという気持ちはわかる。
でも、そのために努力してきた俺は、それがとても難しいことを知っている。
愛する人を大切にしていたって他の人に恋をしてしまうこともあるし、好きな人が何人もいるという状態だって、みんな口に出さないだけで、別に珍しいことではない。
だから、大事なのは。
「江頭。お前はどうしたいんだ?」
ということになる。
「うーん」
「どんなに不謹慎なこと言っても俺は驚かないから、正直に言ってみれば?」
彼女は体をこちらに向けて、唸りながら脚をブラブラさせる。
俺はその脚をぼんやり眺め、待つ。
約1分くらい経ったところで、彼女が両足を床に落ち着けた。
どうやら考えがまとまったらしい。
「せんせー。ちょっとヤバいこと言うけど、引かない?」
「引かないよ」
俺は教師だ。
だから、君の言うことすべてを受け入れよう。
「ほんと?」
「ほんと」
江頭は疑うような目で俺をじっくり観察した。
俺はその間の沈黙に、ひたすら堪えた。
胸の奥から湧き上がる気持ちに、堪えた。
十数秒後、彼女はやっと口を開いた。
出てきたのは、本当にヤバい言葉だった。