LB4
「あたし、とにかく処女を捨てたい」
驚かないという約束は、破られてしまった。
教師として聞くには、刺激が強すぎる。
彼女が今俺に求めているのは何なのか。
恋愛相談?
性教育?
冷静に見極めろ。
「どうして?」
俺がやっとの思いで発した言葉に、彼女はハキハキと答える。
「男という生き物のこと、ちゃんと知りたいから……かな。なんかみんな、そういうことするまでのプロセスが楽しいみたいなこと言うけどさ、あたしはそういうことしてからの関係の方がずっと大事だと思うんだ。だから、まずは知りたいの。そこに、何があるのかを」
こいつ、本当に恋愛経験ないのかよ。
浮かれることより持続させることに重点をおくなんて、恋に恋する女子高生の言葉とは思えない。
両親が早くに離婚した母子家庭育ちの彼女ならではの、現実的で冷静な考え方なのかもしれない。
「なるほど、一理あるな」
俺がそう言うと、江頭は意外そうな顔をした。
「ふしだらだって怒られるかと思ったのに」
「その程度で怒らねーよ。もっと酷いこと考えてるやつらがわんさかいるしな」
この年頃の男どもなんて、頭の中はたいていピンク色だ。
それこそ童貞なんてすぐにでも捨てたいと思っているし、良好な関係を持続させることよりも、頻繁に脚を開かせることに情熱を注いでいる。
「えー、そうなの?」
「そうだよ。お前は自分が思ってるより良い子なんだ」
だから、俺は放っておけない。
危なっかしくて、つい手を差し伸べたくなる。
「良い子とか言うなし。キモい」
「キモいとか言うなし。ヒドい」
「うわー真似すんなし。ウザい」
楽しそうに笑っているが、それでいいのか。
普通、生徒は男教師なんかにそんなディープなことは話さない。
俺が教師として信頼されているとポジティブに考えることもできるが、天真爛漫にも程があると心配にもなる。