LB4
仕方なく腕を放して俺に倣った江頭は、再びそれが当たり前のような顔をして、俺の部屋の中に入ってきた。
教員用の宿舎に住んでいなくてよかった。
いや、逆だ。
住んでいれば思い止まった。
間違いを起こすこともなかったかもしれない。
彼女は特に物珍しそうな顔もせず、靴を脱ぎ、無邪気に俺の後を追ってくる。
「せんせーんち、あ、タケシんち、広いけどちょっと散らかってるね」
ソファーに脱ぎ捨ててある衣類を見て笑っている。
男の独り暮らしにしちゃあ片付いている方だと確信しているが、女のふたり暮らしの彼女には、これでも汚く見えるらしい。
「人を呼ぶ予定なんてなかったからな」
「じゃあ、次にあたしが来るまでに、片付けといてね」
「心配しなくても、お前がシャワー浴びてる間に片付けといてやるよ」
バスタオルを投げつける。
見事にキャッチ。
さすがバスケ部、と言ったところか。
笑って浴室に向かった江頭。
次なんて、あってたまるかよ。
いろんな意味で身が持たない。
初めてが俺であれば、もうそれで満足なんだろう?
これ以上俺を壊さないでくれ。
教師が女子生徒に猥褻な行為をはたらいたと、全国区のニュースになってもおかしくないほどの『事件』が今、ここで起きている。
ただでさえバレたらお互いの人生が狂うのだ。
俺は今の地位や信用を失いたくないし、君の輝かしい未来を潰したくもない。
だから今日限りだ。
欲に負けるだけ。
決して愛し合ったりしてはいけない。