LB4
シャワーの音が聞こえ始めて、少し焦る。
仕事着を脱いで、部屋着に着替え、ソファーに放って、そういえば片付ける約束だったと思い出し、しまうものはクローゼットへ。
シャツなどの洗い物は洗濯カゴに放りたいところだが、生憎カゴは脱衣所だ。
シャワーを使っているのが長く付き合っていた彼女であれば遠慮なく扉を開けるところだが、相手は処女である。
それくらいの気遣いは忘れていない。
シャワーが止まるまでの間、俺は忙しく動き回った。
ベッドを整えてみたり、テーブルの灰皿に溜まった吸い殻を捨ててみたり、クローゼットの小物入れに放置されていたコンドームを、枕の下に仕込んだりした。
床に放られた彼女のスクールバッグが、異様に感じられる。
江頭は生徒なんだぞ、考え直せと、バッグに説得されているような気がした。
だけど、俺は——……
ガチャ
脱衣所の扉が開く音が聞こえて、俺は条件反射でそちらを向いた。
扉から表れたのは、制服を脱ぎバスタオル一枚のみを身にまとった、ひとりの女の姿だった。
「せんせー」
覚悟を含んだ声で俺を呼ぶ。
今のはあえて、せんせーと呼んだのだ。
制服を脱いでいるからといって、禁忌を忘れさせてはくれない。
その背徳感がスパイスになるのだと、わかってやっているのだろうか。
「俺も浴びてくる。つーか何か着ろよ。ちょっと待ってろ、今何か適当に……」
「いい。いいから」
「おい」
勢いよく突っ込んできて、俺の腹に巻き付く。
俺が使っているシャンプー類の香りがして、せっかく気合いで治めた下半身がまた反応し始める。
「せんせーは浴びなくていいから、もう、早くして」
とんだ肉食女子だ。
ここで俺が彼女のタガを外してしまったら、とんでもない女になるのではないか。
「落ち着け。おい、こら」