LB4

彼の手が無遠慮に私の服の中に入ってきて、キスをしながらめくるように脱がされる。

特別な人以外に触れさせてはいけない部分が次々と露になり、羞恥でまた体温が上がる。

隣の部屋から流れ込んでくるエアコンの風が汗ばんだ肌を冷却するけれど、それが追い付かないほど熱い。

「拒否、しないんですか?」

(触っていいですか?)

「黙れ……!」

(恥ずかしいから聞かないで、早くして)

副音声で会話が成り立つ。

接触がより濃密になって、皮膚や粘膜の上を指や舌がしつこく這う。

私は与えられる感覚に、主導権を奪われるどころか、完全に支配されていた。

「気持ちいい?」

「……聞くな!」

わざと音を立てたり、私の感触を実況してみたり、羞恥を煽られる毎に先輩としての威厳が崩壊してゆく。

いつもバカみたいに爽やかだった板東が、化けの皮を剥がしたように淫らな顔つきをしている。

これが板東だなんて、本当に信じられない。

こんな板東とこれからも毎日一緒に仕事をするのだと思ったら、胸がかきむしられる。

「あ、も、ダメッ……」

「こら、暴れないでください」

「だって」

「逃がしませんよ。相澤さんがイクまでやめませんから」

その口で、その声で、そんな卑猥なこと言わないで。

まだ少しだけ残っている「可愛い後輩」のイメージを守るため、ギュッと目を瞑る。

でも失敗だった。

視覚を遮断すると触覚と聴覚が研ぎ澄まされて、私はその後呆気なく屈してしまったのだった。

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