LB4
『家に帰るまでが遠足です』
この表現を借りるなら、
『服を着るまでがセックスです』
ということになるだろうか。
つまり、ぐったりとして服を着ようとしない彼女がいる限り、情事は終わってなどいないのである。
ベッドの乱れを軽く直し、傷ついた身体を温めて労る。
ゴミ箱に入っているティッシュには、彼女が女になった証拠が薄く滲んでいる。
自分がやったことの大きさを、改めて実感した。
「初めての相手があんたでよかった」
甘えながらそう言った彼女を抱き締める。
よかった。
“よかった”と思ってもらえて。
「散々世話になってる担任教師をあんた呼ばわりかよ」
これはもちろん、照れを含んだ冗談である。
パンツ一丁で教師ぶるつもりもない。
「あはは、ごめーん」
無邪気な笑顔に、瓜二つな彼女の母親を思いだした。
次に会うのは冬の面談か。
娘を傷物にした不良教師としては、とても顔を会わせづらい。
「身体は平気か?」
「意外と平気」
「痛くない?」
「痛いっちゃ痛いけど」
頭を撫でていた俺の手を掴んで、じっくり観察し始めた。
自分の手と大きさを比べたり、爪を丁寧に擦ったり、俺の肝心な部分を初めて見たときよりよっぽど物珍しそうにいじくり倒している。
父親の手の記憶が薄い彼女の好奇心がそれで満たされるならとそのままにしていたら、突然、彼女が俺の中指を口に含んだ。
ゾクッと、背筋に電流が走る。
「おい」
「ママには、織恵んちに泊まるって言ってある」
「は?」
指を口に入れたまま喋るなよ。
そんなの、誰に教えられたんだ。
俺じゃないぞ。
天性か?
「タケシ、た……」
「わかったから、言うな」