LB4




彼女の通過儀礼と、俺のモラル違反デビューは、おそらく成功という形で幕を閉じた。

彼女は知りたかったことを知ることができたし、俺は不可抗力で生まれてしまった感情を昇華させることができた。

あとはこの先、誰にもバレなければいい。

二人だけの秘密にして、時々思い出しては欲に浸ったり後悔したり懐かしんだりする。

俺は教師だし出会いも少ないから、今後しばらくは彼女を引きずることになるだろう。

罪の重さを感じて圧迫されることもあるだろう。

だけど君は、これからたくさんの出会いがあり、世界はますます広がってゆく。

俺のことなど忘れて、未来へ羽ばたけばいい。

俺はそのための踏み台になったのだ。

最大の弱味を握られたことになるが、後悔はない。

あるのは少しの罪悪感と、大きな失恋の傷を癒してくれた感謝と、ごまかしきれなかった恋心。

江頭は何を思っているのだろう。

少し前にフラれたという1番好きだった男のことだろうか。

それともこれから恋人になるであろう田中のことだろうか。

ああ、俺は彼女の母やモラルに対してだけでなく、田中にまで罪の意識を持たなくてはいけないのか。

やれやれ。

それだけでも、十分に罰を受けている気分だ。

罪が白日の下に晒されなかったからといって、楽に暮らせるわけじゃないんだな。

俺はもともと超絶いい教師で清く正しく生きてきたから、知らなかった。

勉強になったよ。



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