LB4




この夜、俺は夢を見た。

10年付き合った元恋人が、やり直そうと俺の元へ戻ってくる夢だった。

なぜか高校時代の制服を身に付け、学校指定の革製学生鞄を持ち、重たいルーズソックスを履いて。

ただ、顔はそろそろ29になろうという女のままで、彼女の美しさを加味しても、かなりシュールな映像だった。

『どうしたんだよ、そんなもん今すぐ脱げよ、恥ずかしいな』

俺が言うと、彼女は鞄を放り投げ、一枚一枚丁寧に制服を脱いでいき、裸になった。

『タケシは、女子高生が好きなの?』

問いながら脱いだ制服を俺に手渡してくる。

『制服が好きなの?』

『若さがいいの?』

俺は押し付けられる制服を押し返し、違う違うと首を横に振った。

それでもしつこく押し付けてくるから、俺はもう嫌になって、彼女から制服を取り上げ床に叩き付ける。

すると彼女はくるりと俺に背を向けて、長い髪をなびかせ去っていった。

そこでふと目を開けると、裸の女の背中が見えたから、俺は無意識に声を出す。

「綾……?」

戻ってきたのかと思ったが、次の瞬間、昨夜の記憶が一気に蘇る。

目の前の彼女はモソモソとこちらを向いて、眠そうな声でクスクス笑った。

「アヤって、もしかしてせんせーの元カノ?」

「あ……いや」

その通りなのだが、そうだとは言いづらい。

こんな時に別の女の名を呼んでしまった自分は、なんて浅はかなのだろう。

普通なら修羅場になるところだ。

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