LB4
「せんせー、起きよう。今日も学校だよ」
明るい彼女にホッとする。
もっと気恥ずかしい朝になるかもしれないと思っていた。
「身体は平気か?」
痛みを引きずったりしていないだろうか。
エアコンの効いた部屋で汗をかかせてしまったから、風邪など引いていないだろうか。
「平気だよ。せんせー優しすぎ。逆にキモい」
「キモいとか言うな」
「嘘だし。ありがと、気にしてくれて」
「あー、逆にキモいって感覚わかったわ」
「ええっ、なにそれムカつく。他の女の名前呼んだくせに」
俺たちはこの日、一緒に家を出て、別々に学校へ行った。
彼女は電車で。
俺は車で。
といっても、駅までは俺が乗せていった。
昨夜彼女を乗せたロータリーに車を停めて、俺たちは最後のキスをした。
「じゃあね、せんせー。またあとで」
次に会うときは、教師と生徒。
これまでの12時間はなかったことになる。
「おう」
彼女は昨日までとはまるで別人のような顔つきになっている。
悟りを開いたとか、一皮剥けたという表現がしっくりくる。
それは成長を感じたというよりも、悪女誕生の瞬間を垣間見たような感覚。
これから彼女はたくさんの男を騙し、手玉にとり、傷つけて生きていくのだろう。
それでもいい。
どうか、君だけは幸せであれ。