LB4
予鈴と同じタイミングで職員朝礼が終わった。
担任教師は生徒への配布物を持って、それぞれの教室へ向かう。
校門の見える渡り廊下をゆっくり通り、まだ廊下に出ている違う生徒たちに早く教室へ入れと喚起しながら3年のフロアへ。
本鈴が鳴り始めると、どの教室でもガタガタ生徒たちが席につく音がした。
教室の扉の前にスタンバイ完了した他のクラスの教師たちとアイコンタクトを取り、自分のタイミングでオープン。
「おはよーう」
真っ先に目に入ったのは、つい1時間前に別れのキスをした江頭だった。
ほんの一瞬目を合わせて、自然に逸らす。
この中に彼女の変化に気付いている者はどれ程いるだろうか。
ぐるりと見渡してみる。
少なくとも、田中は気付いていないようだ。
「今日の連絡は以上。それじゃ授業の準備ー」
俺は教室が再びざわめき始めた絶妙なタイミングで、わざと目立つように声を上げる。
「あ、江頭」
「は、はいっ?」
驚いた様子の彼女はいったい何を言い出すのだろうかと、いつもより少し固い表情で俺を見た。
クラス中が俺と彼女に注目している。
「お前、数学の課題、昨日出すっつったくせに出さなかっただろ。今日絶っっ対に出して帰れよ」
クラスに笑いが起きると、彼女はなんとも悔しそうな顔をした。
「わかってるしっ!」