LB4
「この頃、高3の夏、あたしまだ汚れを知らない乙女だったなー」
「俺が汚したみたいに言うなよ」
「だってあたしの初めてはタケシだもん」
ソファーの隣にドサッと座ってアルバムを膝に乗せ、頭を俺の肩に預けた彼女。
視線から放たれるテレパシーを感じ取って、軽く唇にキスをした。
「今じゃでっかいバツがついてるもんな」
チクリと嫌味を放つと、彼女の唇が余計に尖った。
「うるさい。あんたこそ、同窓会で私と再会するまで誰にも貰ってもらえなかったくせに」
「年下男とスピード結婚&スピード離婚したお前こそ、俺と再会しなきゃ再婚なんてできなかったんじゃねーの?」
「うるっせーな。最初っからタケシがもらってくれてれば、バツなんてつかなかったんだよ」
それを言われると、今でも少し心苦しい。
でも。
「フラれたのは俺の方だっつーの」
「失恋したのはあたしだし。女子高生なんかに浮気しちゃってさー。伸ばしてた髪までバッサリ切ったんだからね」
「浮気はしてませんー」
一度だけ手を出したことは、彼女にも絶対に言わないけれど。
久しぶりにあの子の顔が浮かぶ。
今ごろ元気にしているだろうか。
「今“せんせ〜♡”って会いに来られたりしたら、コロッといっちゃうんでしょ」
「いかないよ」
たぶんね。
「思い出したら髪切りたくなってきた。先週オープンしたっていうサロンのチラシ、その辺にあったよね」
「これ?」
テーブルに重ねられていたチラシから、それらしいものをピックアップして卒業アルバムの上に乗せた。
カラー印刷されたそのチラシに写っているスタッフの一人に、一瞬で目を奪われる。
「そうそう、これ」
「俺も、行こうかな」
「え? じゃあ今度一緒に行く?」
「いや、一人で行くよ」
Bother06:3人目の女生徒
fin.


