LB4
普通に二人で出社。
同じ路線を使う私たちは電車で会ってそのまま一緒に出社することも多かったから、今さら誰も怪しんだりしない。
何もなかったように各々の席に着き、周囲の同僚と挨拶や雑談を楽しむ。
「板東、お前昨日帰れたか? お前んちの方、電車止まったろ」
ドキッ!
板東が男性の先輩社員にそう尋ねられているのが聞こえて、意識の80%がそっちへ向く。
板東のやつ、どう答えるつもり?
「そうなんですよ。電車止まっちゃって、自宅には帰れませんでした」
こいつ、正直に答えやがったぞ。
「マジで? どこ泊まったの?」
まさか、そこまで正直に答えるつもりじゃ……
「たまたま知り合いの家の最寄り駅で降ろされたので、その人の家に」
「そっか。ラッキーだったな」
「はい」
ほっ……。
ああ、もう。
これからずっとこんなふうに板東を意識しなきゃいけないのかな。
しんどい。