LB4

私と板東は今、二人で一つの仕事をしているため、業務を開始してからも一緒にいる。

一度彼から離れて気分を落ち着かせたいが、そんな暇すら与えられない。

避けてしまいたいが、ダメだ。

そんなことしたら仕事にならない。

密かに深呼吸して、自分から声をかける。

「板東、昨日の続き、やるぞ」

「はい」

ああ、ダメだ。

目も口も首も腕も腰も、目に入ると感覚がよみがえってくる。

いちいち興奮する自分がいやしくて嫌だ。

「ここの部分はさっき業者に確認した。明日には完成するって」

「よかった。でもここは来週じゃないと無理なんですよね?」

ねぇ、あんたさ。

私のことどう思ってんの?

好きだから抱いたの?

それとも性欲を解消したかっただけ?

これからどうするの?

あんたがハッキリしてくれないと、私から聞いたりできないよ。

「相澤さん?」

はっ、またボーッとしてた。

「ごめん、寝不足かな。コーヒー買ってくる」

「……行ってらっしゃい」

寝不足に関しては責任を感じているのか、少しすまなそうな顔で苦笑している。

「あんたも飲む?」

「いえ、俺は大丈夫なんで」

「あそ」

ていうかどうしてそんなに元気なの?

板東の方がよっぽど体力を使ったはずなのに。

これが若さってやつか。

こいつ、まだ20代前半だもんな。

アラサーの私とはわけがちがうのか。

男としても、これから脂の乗る時期だもんな。

女としてのピークを過ぎた私なんか、一度味を見たら満足だろう。

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