LB4
「ベッドにいると、思い出すんだよ」
俺にしか聞こえないくらいの、小さな声だった。
「何をです?」
「お前としたことをだよ。言わせんな」
「ああ、そういう……」
「一度思い出したらなかなか止まらなくて、寝付けなかった」
それって、つまり、率直に言うと。
ベッドで俺とのセックスを脳内再生して、興奮してたから眠れなかったということ?
なんだそれ。
なんか、すげー嬉しい。
「相澤さんのエッチ」
「うるさい。お前ほどじゃねーっつーの。ニヤニヤすんな気持ち悪い」
「これがニヤニヤせずにいられますか」
「正直に答えたからもういいだろ。放せよ」
彼女は再び大袈裟に腕を振り払って、その動きでまた彼女特有の香りが漂ってくる。
ああ、やっぱり俺、この人が好きだなぁと思った。
「俺、相澤さんの気持ちが知りたいです」
彼女はピクリと反応した。
「彼氏いるのわかってたから、聞くの逃げてたんですけど。やっぱ、聞きたいです」
ハッキリ振られてしまうかもしれないけれど。
もし、万が一、あなたも同じ気持ちなら。
俺は今度こそ全力で頑張ります。
あなたの彼氏にタマ潰されても堪えてみせます。
根拠のない略奪なんてできないけれど、あなたの気持ちさえ俺にあれば、それを支えに何でもできる気がする。
見つめ合うこと、3秒。
「わかった」
彼女はゆっくり目を閉じて、深呼吸をした。
そしてカッと目を開くや否や、俺の胸を思い切り突き飛ばす。
よろめいた俺は壁で軽く頭を打った。
「いって……」
ガン!
痛がっている暇もなく、いつかのように膝と膝の間にヒールのパンプスが突き立てられた。
そしてそのパンプスは、細いヒールをガリガリ鳴らして上へ上がってきた。
「ヒッ……!」
強い衝撃と激痛を予知して、全身が強張る。
身震いまでしたが、彼女の足は少し触れた程度の位置でピタリと止まる。
「てめーそれでもキンタマついてんのかよ!」