LB4
そこまで考えがまとまったところで彼女を追った。
階段を降りる前に腕を掴み、捕まえる。
彼女は足を止めたけれど、顔はこちらに向けてくれない。
「男らしくなくて、すみません。こんなだけど、俺だって、身も心も男です」
彼女は何も言わない。
だけど逃げようともしないから、話を続ける。
「新人の頃から、ずっと好きでした。でも、学生時代から長く付き合ってる彼氏がいると聞いていたので、それを邪魔するつもりはありませんでした」
俺の入社当時、彼女は26歳。
既に結婚適齢期だったから、このままその彼と結婚するのだろうと思っていた。
周囲の人たちもそう噂していた。
結婚したらきっと諦められると思っていたのに、彼女は今でも独身だ。
それどころか、理性を失った俺なんかに大人しく抱かれて、そのせいでこんなにも心を乱している。
「でも今、俺の消極的な態度が相澤さんを悩ませてるってことは。俺に邪魔してほしいってことですよね?」
問いかけると、掴んでいる腕がピクリと微かに反応した。
「そうなんですよね?」
念を押すと、ゆっくり顔がこちらを向く。
ベッドに下ろした時に見たのと同じ顔をしていて、ギュッと胸を鷲掴みにされた気がした。
「邪魔も何も、男とは先月別れたし」
彼女は一言、ばつの悪そうな顔でそう告げた。
「……は?」
「だから今、彼氏はいない」