LB4
その後、えみちゃんは何とか第一志望の高校に合格。
その頃にはまゆみさんにもちゃんとした彼氏ができて、俺の役目は完全に果たされた。
……と、思ったのだが。
「ねーねー大悟くん。入学祝にデートしてよ」
えみちゃんが懐いたまま、なかなか俺離れしてくれなかった。
「もう少し大人になったらね」
「えー。いいじゃん。華のJKだよ? 制服、着てきてあげるよ?」
「俺は制服萌えするほどおっさんじゃねーよ」
「じゃーどんな女の人が好きなの?」
君のお母さんみたいな人だよ。
とは言えないが。
「大人っぽい人」
「えー! それ、あたしへの当て付けで言ってるでしょ」
「ははは。じゃあ、18歳になったらな」
「言ったなー。絶対だからね」
ほんのり赤いほっぺを膨らせて拗ねていた彼女を見て笑ったのが、もう2年以上前のこと。
大学を卒業し、会社に入って、仕事にもやっと慣れてきたある日の夜。
携帯が震えたから確認してみると、通知にはえみちゃんの名前が表示されていた。
『大悟くんひさしぶりー! あたし18歳になったから、デートしてくれるよね?』
というメッセージの下に、投げキッスのスタンプが添えられている。
女というのは、記憶力に優れた恐ろしい生き物だ。
えみちゃんもその例に漏れず、2年以上も前に交わした冗談半分の約束を、しっかり覚えていたらしい。