これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「たしか、ワインがもう一本あったな。取ってくる」

 席を立ちキッチンへと向かう。そこで私が気が付けばよかったのだけれど、時すでに遅し。

 驚かそうと思っていたケーキの入った冷蔵庫を彼が開けてしまった。

「あー勇矢さん、みちゃダメです!!」

「……ごめん。もう見た」

椅子を倒す勢いで立ち上がった私を、申し訳なさそうな顔でみていた。

「せっかく驚かそうと思ってたのに……」

 私が勇矢さんのために唯一頑張ったところだ。あとで盛大に驚かせようと思っていたのに、先にみつかってしまうなんて。自分の詰めの甘さにあきれてしまう。

 がっかりして、ポスンと音を立てて椅子に座りこんだ。

 そんな私の様子をみた勇矢さんがケーキを手に、慌てた様子でキッチンから戻ってきた。

「ごめん……まさか冷蔵庫の中に隠されてるなんて思ってなかったから」

「あの、驚かそうと思ってたんです。喜んでほしくて」

 彼を責めるつもりなんてない。けれど口調がどこか恨みがましくなってしまっていた。

「ちゃんと喜んでる。自分でデコレーションするって言ってたから、まさかこんな素敵にできてるとは正直思ってなかった。十分サプライズになってる」

 自分の思い描いていたサプライズとはちがうけれど、彼は十分驚いてくれたようだ。

「実は昨日の夜準備していたんです。ちょっと子供っぽいかなと思ったんですけど」

「いや、そういうところも可愛いと俺は思ってるんだけど」

 私の背後から勇矢さんがケーキをテーブルに置いた。背後に立つ彼を見ようと顔を向けたときだった。
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