これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「恵に初めて会ったときに、言ったよな? 『責任が持てないのなら、優しくすべきではない』って」

「はい……言いました」

「その言葉を、俺自身が忘れてた」

 私の頭を彼の大きな手が優しく撫でてくれる。しかし彼の言葉に私は引っかかってしまう。

「責任って……私と一緒にいるのは、責任感からですか?」

「いや、責任を取るのは君だよ、恵」

「わ、私ですかっ?」

 思っていなかった返事で驚く。

「そうだ。こんなに恵のことを好きにさせたんだ。責任ちゃんととってくれよな」

 笑顔でそう言った勇矢さんの顔が近づいてくる。

 私は驚きのあまり目を開いたままだ。

「こういうときは、目を閉じるんだ。もう忘れたのか?」

 唇が触れる距離で勇矢さんが私に呟く。

 そしてそっと目を閉じた私に、優しいキスをくれた。

 彼の腕に包まれ、夢見心地の私を現実に引き戻したのは……私自身だった。

「……くしゅん」

 自分のタイミングの悪さを呪ったが、勇矢さんはそんな私を見てクスクスと笑って「恵らしい」と言ってくれた。

「じゃあ、行こうか」

「あの……ちょっと待ってください。さっき『一生謝罪し続ける』って言いましたけど……私、謝ってほしいなんて思ってません。だから……」

「だから?」

 私の言いたいこと、きっと勇矢さんはわかっているはずだ。それでも私に言わせようとしている。

「一生、側にいさせてください」

「もちろん、そのつもりだ」

 私の額にチュっと小さなキスを落とした笑顔の勇矢さんが、私の手を引いて歩きだす。このままどこに行くのか、不思議に思いながら彼に連れていかれるところになら、どこにでもついて行こうとそう思えたのだった。


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