これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「勇矢さん、ここは……」

 手を引かれて連れてこられたのは、先ほどのお見合いをした部屋だった。

 中にはまだきっと、両親がいるはずだ。どうしてここに……?

 私の疑問が解決する前に勇矢さんは、襖を開けて中に入ってしまう。

 そして入ってすぐに膝をつき、頭を下げた。

「ゆ、勇矢さん」

 中にいた私の両親は驚いて顔を見合わせている。かたや兄はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていた。

「このたびは、大変失礼とは思いましたがご挨拶に伺いました」

 そこで、顔をあげると両親をまっすぐ見る。

「恵さんを、私の元へと連れて行くことをお許しください」

 頭をもう一度下げたまま、両親の言葉を待っている。私は勇矢さんの気持ちを考えると止めることもできずにただ状況を見守ることしかできなかった。

「恵も座りなさい」

 母に言われて、勇矢さんの隣に座った。

「高浜さん……でよろしかったですか? 顔をあげてください」

 父の言葉に、勇矢さんは顔をあげた。

「このたびは我が家の、というよりは娘の危機を救っていただきありがとうございます。大輝から先ほど話は聞きました。やっと私たちにも恵が毎日泣いて暮らしていた理由がわかりました」

「それは私の不徳の致すところです」

 勇矢さんは膝に置いた手をギュッと強く握った。

「いえ、本当に恵を泣かせたのは……私たち家族の方です」

「お父さん……どういうこと?」

 私は父の発言の意味がわからずつい口を挟んでしまう。
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