これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「どうして植草社長のことを知ってるんだろうって不思議に思いまして。あの会社との取引は最近始めたばかりです。なのに派遣社員のあなたがどうして知ってるんだろうと」

俺の質問にだんだん彼女の顔がくもりはじめた。

それだけで何か都合の悪いことがあるのだということがわかる。

「あ、え~と確か何かの雑誌に掲載されていたような。私人の顔と名前を覚えるの得意なんですよ。だから受付の仕事の時間が一番好きなんですよね。逆に苦手なのはコピーです。機械って無機質ですよね。なかなか言うことを聞いてくれなくて……」

必死で誤魔化そうとしているのが手に取るようにわかる。

ここまで下手な言い訳初めて聞いた気がする。

何か話したくないことがあるということはわかったが、これ以上聞いても彼女の下手なごまかしが続くだけだと
思った俺は、そのことについてはそれ以上突っ込むことはしなかった。

「髪はどうしたのですか? 以前お会いしたときは背中の真ん中くらいまであったと記憶しているのですが」

「あ、切ったんです」

見ればわかる。

「こんなに短くしたのは、幼稚舎の頃以来です」

自分の髪をひと房とって、目を細めてみている。なんだか嬉しそうなのは気のせいだろうか?
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