これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「似合ってますか?」

無邪気に聞かれた。ここで宗治ならば「あぁ、素敵だよ」とか「かわいいね」とかサラッと言うのだろうが、生憎俺にはその台詞が出てくるようなスキルは持ち合わせていない。

「はい、長いのもお似合いでしたが私は今の髪形も悪くないと思いますよ」

せいぜい頑張ってみたがこの程度だ。

いやそもそもどうして、ここで俺が頑張ろうとしているのかがわからない。

どうも彼女と話をしていると、自分のペースがかき乱される。

自分でも気が付いてはいるが、普段周りからは真面目でとっつきにくいと思われている。あながち間違ってはいない。

だからここまでストレートに懐に入ってくる人に馴れていないのだ。

ニコニコと笑顔を浮かべて、とりとめのない話を楽しそうに話す。

俺に対してそんなことをするのは、今となっては宗治くらいだ。

今日やっとまともに自己紹介した程度の間なのに、気が付けば俺からすごく近い位置にいるように感じた。
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