これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「あの、名前は何て言うんですか?」

顔をあげると、彼を見上げる形になった。

その近い距離に恥ずかしくなって、ソファへと戻る。

猫に夢中になって、近づきすぎた……。ちゃんと失礼のないようにしないと。

「名前……ないですね……」

「えっ! 二ヶ月も一緒に住んでるのに?」

あの日公園で子猫を渡してから二ヶ月。子猫だったのに今は若侍風に成長までしている。

なのに、まだ名前がないだなんて。

「別にこれといって必要性がなかったんですよ」

「不便じゃないですか? 名前がないと」

呼び寄せたりするときは、一体どうしていたんだろう?

「あなたが付けてくださって結構ですよ。私には生憎そういうセンスがないので」

眼鏡のブリッジをあげながらそう言った彼の顔が少し赤いような気がするのは気のせいか……。

「では、クロはどうでしょうか?」

黒ネコのクロ。

「またストレートな名前にしましたね」

少しだけ声を出して笑って、口角を上げたままこちらを見てる。

「ダメでしょうか?」

不安になって彼の顔を見る。

「いいえ。ミルクだのショコラだのという名前だと少し呼ぶのがはずかしいと思っていたので“クロ”はとてもいい名前です」
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