王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
「あの、わたし……」
「ん?」
湧き上がるままに唇からこぼれ落ちる形のない想いを、キットが優しい手で促す。
エリナを突き動かすのは、今まで誰に対しても抱いたことのなかった想いで、チクチクと胸をつつく、甘く弾ける金平糖のようなものだ。
もっと見ていたい。
もっと触れてみたい。
もう少し、近付いてみたい。
思いつめた表情をして見上げてくるエリナに、キットが不思議そうな顔で首を傾げた。
(キスして、って言っちゃダメかな……)
迷ったのは、ほんの少しの間だった。
たぶんキットは、エリナがお願いをすればいつまででもこうして抱きしめていてくれるだろうと思える。
だけど、それでは足りないのだ。
彼が作り上げる自制を壊して、もっともっと、青い瞳が深く貪欲に求めるところを見てみたい。
エリナは込み上げる衝動のままに、ふっくらとした魅惑的な唇を開いた。
「あの、キッ……きゃ!」
その瞬間、抱き合うふたりの隙間に何かが入り込み、目の前で白いものがパタパタと瞬き、ふたりぶんの視線を集めたそれは揺れながらキットが手すりの上に置いた小瓶の蓋の先にとまった。