王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~

ふたりが見つめ合ってホールの中央まで進むのを、まわりの人々は興味深そうに眺めていて、曲が始まりふたりがステップを踏み出しても、多くの視線を集めたままだった。


今いちばん結婚したい相手として有名な、社交界でも華のある青年貴族であるランス公爵。

一方は、はちみつ色の髪と翡翠色の瞳をもつ美しい伯爵令嬢だか、社交界嫌いとして有名で舞踏会にもめったに姿を見せないコールリッジ嬢。

しかもブルーローズをもつランス家と、はちみつをもつコールリッジ家。


言葉少なにただ互いを見つめるふたりは、知り合いなのだろうか。

ふたりに寄せられる視線には、様々な嫉妬が入り混じったものもあったし、ただその禁忌とも思えるふたつの家同士の彼らを興味本位に見るものもあれば、純粋に成り行きを見守っているものもいた。


軽快な音楽に合わせて踊る間、賑やかな舞踏ホールとは対照的に、ウィルフレッドは無言だった。

それでもまっすぐにウェンディを見つめ、琥珀色の瞳に想いを込めるので、彼女もそれに倣い、声には出さず、彼の想いに応えようとした。


音楽が鳴り止み、また人々が少しずつ入り乱れてホール内を移動し始めると、ウィルフレッドはウェンディの手をとったまま、さっき踊りを申し込んだときのように、突然彼女の前に跪いた。
< 218 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop