王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~

聡明なウェンディでもしばらく思考が停止し、言われたことを理解した後は、慌ててぶんぶんと首を振った。

横に。


「そっ、そんな……! つ、つつ、妻だなんて」

「……イヤ?」

「い、いいえ! イヤとかではなくて、その、だって」


ウィルフレッドがとった一連の行動が、古くは求婚の意思を示すものとは知っていたが、まさか本当にプロポーズされるとは考えてもみなかった。


「だって、そんなこと、国王がお許しにならないのでは……?」


神託に際して国王からウィルフレッドと自分の婚約の提案があったことは、キットから聞いている。

ウィルフレッドの判断で、彼がそれを回避したということも。


実際ウィルフレッドと婚約となれば、父とか兄とか様々な恐ろしい障害はあるが、いちばん深刻なのは彼の伯父にあたる国王だ。


「ブルーローズをもつ家と、はちみつをもつ家ですもの。たとえ兄がはちみつを全て王家へ献上しても、ランス家とコールリッジ家に婚姻を結ばれては、王家としても都合が悪いのでは?」


ウィルフレッドは王家とも親しいのだし、彼らに反対されては結婚なんてとても無理だと思う。

国王がふたりに婚約話を持ちかけたのは、王太子に関する神託あってのことで、もうはちみつは渡してしまったのだから、要するにそんな都合の悪い婚約話はなかったことにしたいはずだ。
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