王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
よろこんで「はい」と言いたくても、言えないわけがある。
ウェンディは困惑顔で、形のいい眉をハの字にしてウィルフレッドを見上げた。
しかしウィルフレッドは、ウェンディの口をついて出てくる心配事が国王の許しをもらえるかということばかりだと気付くと、嬉しそうに笑った。
「そこは俺に任せて、心配しなくていいよ」
「で、でも」
「陛下とキットは、俺ときみの婚約を利用しようとしたんだ。そのぶん、俺たちの恋愛に国王を利用しちゃうくらい、なんてことないさ」
「まあ!」
ウィルフレッドはそう言って、琥珀色の瞳をいたずらっぽく細める。
だけど『ふたりの恋愛に国王を利用してやろう』だなんて、彼はなんて蠱惑的な誘惑をするのだろう。
ウェンディが驚いて長いまつ毛を瞬かせると、ウィルフレッドは優しい瞳に金色の光をたたえて、彼女を愛おしげに見つめた。
「そしたらウェンディ、俺と結婚してくれる?」
彼にこんなふうに強請られて、断れる女性なんているんだろうか。