王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
13年に一度しか染まらないその実に圧倒されたように固まるエリナの答えを聞いて、ランバートは満足そうに喉を鳴らす。
「昨日は白かったのに……」
「驚いたか?」
昨夜食べさせられたラズベリーと同じものに見えるのに、その色だけは大きく違う。
毒々しいまでの赤色に染まっていて、なんだか触れてはいけないもののような気がするのだ。
「約束通り、まずはお前に一粒やろう」
ランバートがエリナの背後から腕を伸ばし、カゴいっぱいに摘まれた緋いラズベリーを一粒つまみ上げる。
エリナは慌てて隠しから小瓶を取り出し、蓋を開けた。
小瓶の中身はもうブルーローズが完全に溶けだし、はちみつと合わさって空色に変化している。
エリナの瞳の色そのもののように、綺麗な空色だった。
エリナが震える手で握りしめた小瓶の中に、ランバートがそっとスカーレットに染まったラズベリーを落とし入れた。
「今から13時間後、この夜が終われば、禁断の青い果実はお前のものになる」
思わず感嘆のため息をもらしたエリナに、ランバートが低く囁きかける。
自分の心臓の音が耳のすぐ近くで聞こえるようで、エリナは緊張しながら慎重に小瓶に蓋をして、辺りに漂う甘い禁断の香りを閉じ込めた。