王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
ぎゅっと胸の前で小瓶を握りしめ、この実がちゃんとキットの命を繋げてくれるよう、祈らずにはいられない。
ランバートはそんなエリナの肩を掴み、自分と向き合わせると、泣き出しそうな顔をしている彼女を見下ろした。
「ずっと不思議に思っていた。お前が公爵のただの侍女……いや、乳兄妹だとしても、なぜお前がそこまで必死にそれを完成させようとしている? どうせ禁断の青い果実を得ようというのは、お前ではなく王家の企みだろう」
「それは……」
「国王からもラズベリーを記念贈呈しないかと脅しのような提案をもらったがな。秘密裏に進めている企みのはずなのに、なぜ一介の侍女であるお前が協力することになった?」
エリナは唇をきつく噛み締め、細められたランバートの視線から目を逸らした。
ランバートは初めから王家の企みに半ば気付いていながら、それを探ろうとはしてこなかった。
ただ、王太子であるキットが妙に庇うエリナのことが気になったのだ。
そこに楽しみを見出したからこそ、エリナの身と引き換えにラズベリーを渡してやることを本気で考えた。
ランバートにとっては代々伝わるラズベリーもその程度のものだということなのか、彼にとっての享楽がラズベリーに勝るほど価値のあるものなのかはわからなかったが、とにかく深く聞かれないのをいいことにろくな言い訳も考えていなかった。