王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
とっさに上手い言い訳などひとつも思いつかない。
ランバートは、真実を話せばちゃんと協力してくれるような人物だろうか。
国王もキットもウィルフレッドも、そうは思っていないから、ランバートからラズベリーを譲ってもらうのが困難なのだが。
第一、ウェンディにだって本当は神託のことは告げない計画だったのだ。
真実を伝えても上手くいったのは、それを実行したのがウィルフレッドだからで、また相手がウェンディだったからだ。
「まあいい」
エリナがぐるぐると思い悩むうちに、ランバートは掴んでいた肩を放すと、ふっとエリナから離れていった。
「たとえ王家が禁断の青い果実を手にしたとしても、それを食べれば全知と引き換えに死が訪れることはわかっている」
禁断の青い果実は、選ばれた者以外が口にすれば、過去と未来と現在の全てを知ることができるという能力と引き換えに命を落としてしまう。
つまり、神託によって選ばれたキットが食べるのでなければ禁断の青い果実を手にしてもまったく意味のないことで、ランバートは神託のことを知らない。
「禁断の青い果実こそが王権の象徴とは言われているが、収穫されたラズベリーだけを持っていても完全とは言えないだろう。なんせ、13年後にはまた私の元で新たなラズベリーが収穫されるのだから」