王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
ランバートはなおも納得いかなそうな顔をしていたが、しばらくして堪えきれない笑いを、愉快そうに歪めた唇の端からこぼした。
「まあ確かに、今お前に同じことをすればあの程度の威嚇では済まないだろうな」
エリナに自分を楽しませろと言う割に、キットをからかうほうがおもしろいとでも言いたそうだ。
「殴られるだけでは済まんな。領地を取り上げられて、飢え死にさせられるかもしれん」
「キッ……殿下はそんなこと致しません!」
この数日でキットに対するエリナの気持ちが大きく変わったことを、ランバートは知らないはずなのに、なんだかそのことも含めて揶揄されたようでついムキになって言い返してしまう。
エリナがキッと眉を吊り上げるのを見ると、ランバートは肩を揺らし、声を上げて笑った。
(なんなの? 楽しませろって、こういう意味なの?)
女性関係が派手だと言うランバートのことだから、すぐにでもどこかの部屋に引きずり込まれるくらいは覚悟していたのに。
エリナは思ってもみなかった穏やかな時間に、少々拍子抜け状態だった。
しかし日が沈み中庭に夜の帳が下りる頃、ランバートはエリナを別館にある彼の私室へ案内した。